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大好きなものがあれば、
日本各地とつながれるから。

日向市街の大通りから少し入った所に、
住宅や商店に囲まれながらひっそりと佇むお店が1軒。
真っ白に塗られた木製のドア窓に控えめに書かれた「器と暮らしの道具OLIOLI」の文字は、
入る前から店主である金澤さんの落ち着いた人柄とセンスの良さを感じさせました。
ポプリの優しい香りに包まれ、限りあるスペースながら
心地よい感覚で並べられたお皿たちに心奪われる店内で、
移住後、お店を開くことになったいきさつや、
日々の暮らしぶりをお伺いしてきました。

Uターン

金澤美香さん

  • 移住歴13年
  • 移住元京都府
  • 職業自営業

真っ黒になりながら海で遊んだ幼少期。

生まれ育った細島での思い出は?

漁師町で、両親が2人とも漁協で働いていたので、海は毎日の暮らしの1番近くにありました。幼い頃は、夏場になると毎日近くの「御鉾ヶ浦(みほこがうら)」に出掛け、真っ黒になりながら遊んでいた記憶があります。特に県外に出たいという思いがあったわけではありませんが、その後短大に行くために一度宮崎を離れました。

移住までの経緯は?

高校時代に出会った夫の転勤で、福井や広島、京都など覚えきれないほどたくさんの土地を転々とする生活をしていました。私自身は、色々な地域の文化に触れられるそんな生活が楽しく、性にあっていたので特に苦ではなかったのですが、夫の地元への思いは強く、最終的に転職して宮崎へ帰ってくることになりました。

日本各地に足を運び、作家さんとつながる

「OLIOLI」をはじめたキッカケは?

若い頃から「器」が好きで、陶芸教室に通ったりもしていましたが、転勤で日本を転々としていた時に出会えた各地の陶芸市が、私の器好きに拍車をかけたように思います。移住前は融通のききやすい事務職で働くことが多かったのですが、日向に定住すると決まった際、最初に思い浮かんだのが「器」のお店を営むことでした。「器」が好きだからというのはもちろんですが、買い付け目的で色々な土地に堂々と行けることもその魅力の1つでしたね(笑)移住前から準備を進めて、移住の数ヶ月後、オンラインショップを開設しました。

作家さんのセレクトは?

長野県や、大阪府、栃木県などで開かれる、全国から作家さんが集まるクラフト市へ毎年足を運び、作家さんの作品を実際に手に取ってセレクトしています。自分の好みも、その時々で変化するので、その時の自分の「いいなぁ!」という直感を信じて、作家さんにお声をかけるようにしています。

実店舗を構えるキッカケは?

実店舗を持っていないと取り扱いができない作家さんが増えたことや、近場に住むお客様から「実際に器を手に取りたい」と言われたこともあり、構える決心をしました。見つけた古い物件の畳や砂壁を、夫や友人たちと全部剥いで、床以外の部分を全部手作りしてできたのが、このお店です。カップやお椀をディスプレイしている風変わりなアンティークの棚は、実は工場の工具入れとして使われていたものなんです。器だけじゃなく、お店の中にあるどの道具もすべて大事な思い入れがあります。実店舗をオープンしてまもなく8年になりますが、最近では、夫が趣味で焙煎したコーヒーの提供をはじめたり、個展を開いたりもしており、時に東北や関東など、遠方からのお客様もお越しいただいています。

趣味の釣りを、大好きなコーヒー片手に。

休日の過ごし方は?

晴れた日は、人もまばらな近場の海岸で、小さなテントをはって、夫と一緒に大好きなコーヒーを飲みながらゆったりと釣りを楽しんだり、温泉へ出掛けたり。家では、自分好みの器で地元の美味しいものをたんさん食べて、そして良く寝る(笑)そんなゆるりとした毎日を過ごしています。

日向の魅力は?

こちらで個展を開催された作家さんに、「他の所だと作品を見てそのまま去って行かれる方が多いのに、こっちの人は器の感想を言ってくれる方が多いね」と言われて、改めて人と人との繋がりを大事にする土地柄を感じました。そういったお付き合いが苦手な方も中にはいるかもしれませんが、私にとってはこの日向ならではの距離感の近さが心地よくて、魅力的だなぁと思います。

何かをはじめるにはピッタリの場所。

移住者の方へアドバイス

航空券も高くアクセスも悪かったので、昔は「陸の孤島」などと言われていましたが、今では格安航空券もあるし、道路も整備されて他県との往来もしやすくなったので、正直どこに住んでいても不便なことってそこまでないのかも、と思っています。私も競争率の高い都会だったらお店を持ててなかったと思いますし、初期投資の少ない田舎は気楽になにかをはじめるには向いているかもしれません。これからも日向で、色々な方やお店と出会えるのを楽しみにしていますので、ぜひ1度気軽に訪れて色々な方に相談なさってみてください。