旅路の途中で起こった「不測の事態」は、
気が付けば「縁」に
日向市東郷町が生んだ歌人、
若山牧水の生家の下を流れる「坪谷川」のほとり。
窓から入ってくる川音との調和を楽しむような楽器の音色が、
心地よく響き渡る昔ながらの一軒家には、
2020年にブリュッセルから帰国し東郷町に移り住んだ
ミュージシャン「成澤けやき」さんが暮らしている。
成澤けやきさん
- 移住歴4年
- 移住元ベルギー ブリュッセル
- 職業ミュージシャン
自分の「好き」をもっと追求したくて
音楽との出会いは?
なぜ海外へ?
社会人になってから数年間は、平日を IT系企業の役員として、週末はミュージシャンとして過ごしていましたが、鹿児島三島村にあるジャンベスクールの留学生制度に参加した後、「本場を知りたい」と西アフリカへ飛び出しました。
海外生活の中で再燃した、ある思い
海外での暮らしは?
帰国の理由は?
そんな中でも「いつかは日本で暮らして、日本のためになることをしたい」と思っていました。それは、長い海外生活の中で自国のアイデンティティを問われるタイミングが多かったこと、そして何より小さい頃から「人の役に立つことをしなさい」と育てられたことが大きかったと思います。
予期せぬ事態が作った縁
東郷町との最初の出会いは?
2019年の終わりから日本への移住に向けて本格的に動きはじめ、幼少期に数年住んでおり大自然に囲まれた豊かな思い出が印象に残る大分県日田市のような田園風景を求め、九州各地でライブをしながら移住先を探していました。そして2020年、日向市でのライブが終わり東郷町を訪れたのが最初です。
なぜ移住を決めた?
はじめて訪れたその時に、新型コロナウイルスの蔓延により海外はもちろん、県外への移動も難しい状況に陥ってしまいました。当然予定していたライブは続々中止に。東郷町から動けなくなってしまった私は、どうせならと期限付きの約束で古民家の荷物整理や庭の剪定をさせていただきながらこの町で仮住まいをしておりました。住んでみると、幼少期の記憶に残る山・川・田んぼはすぐそこに。そんな東郷町にいつのまにか「縁」ができ、結局 3ヶ月後にはここに定住することになりました。
「勝手に地域おこし協力隊」
暮らしてみていかがですか?
どんな活動を?
毎月第4土曜日に開くミニオーガニックマーケットや、東郷音楽祭、自然素材アート展などを企画したり、竹害をアートで結び付けた「バンブー・ミュージック・ミヤザキ」という地域課題解決のための活動を子どもたちと取り組んだり…「自然」「環境」「教育」をキーワードに「地域のためになるか?」を常に考えながら4年間日々活動してきました。そして、ただやるだけでなく、それをしっかりとメディアに載せることで東郷町の魅力がどんどん発信され、結果的に地域の外との交流も盛んになっていったらいいなと思います。
ここ東郷町を拠点に「音浴」を
今後の目標は?
今後は、「地域」だけでなく、もう少し「個人の音楽活動」にも重きをおいた活動を増やすことができればと思っています。その1つを上げると「サウンドバス(音浴)」。これは音の持つ振動を体中で感じて、心だけでなく体の健康をも保つというもの。オーストラリアやバリなどで民族楽器を教わった先生がみんな「音楽は薬」だと話していたのが印象的で、自分が今までずっとやってきた音楽をもっと深く探究する意味でも、力を入れていきたいです。東郷町の自然に囲まれながら、床に横たわり、深くゆっくり呼吸をしながら倍音の振動を浴びる。最高なのでぜひ味わってほしいです。最近では、自宅の1階をサロンにしてより沢山の人に体験してもらっています。
移住を考えている方へアドバイス
アドバイスできるようなことはないのですが…(笑)私の東郷町への移住は想定外な出来事がキッカケではありましたが、今では運命を感じています。今移住を考えている方にも、そんな素敵な巡りあわせが訪れることを願っています。